こんにちは、元地方公務員で人事・採用を担当していた”ともきち”です。
人事担当の目線から、公務員試験、公務員の人事等について役立つ情報をお届けします。
公務員試験の勉強をしていると、いろいろなウワサが飛び込んでくるものです。
地方自治体はコネがないと採用されないとか、試験の成績が出世を左右するとか。
そんないろいろなウワサの中でも、よくあるのが「身辺調査」です。
自分の犯罪歴、家族の就職先など、公務員にふさわしいかを調査して、不適格だといくら成績が優秀でも不合格・・・。
このような調査は本当にしているのでしょうか。
地方公務員試験で身辺調査はあるのか
まずは、そもそも身辺調査的なことをしているのか、という点です。
「交通違反をした」、「高校生の時に万引きで捕まった」といった犯罪系のことから
「家族がが某政治団体の党員だ」、「親戚が過激な思想の宗教団体幹部だ」といったような思想信条系のことまで
探偵みたいな調査をされたら、何かしら引っかかって、不合格・不採用になってしまうのでは?
と心配することもあるかもしれません。
しかし、結論を言えば、身辺調査はしていません。
そもそも、公平・公正に実施しなければならない公務員試験。
今時、身辺調査をしていることが明るみになったら、差別だと訴えられかねません。
それに、自治体にそんなお金を出す余裕もないと思います。
身辺調査をしていないのですがら、犯罪をしていようが、思想信条が特異であろうが、分かりません。
分からないものは試験に影響しようがないですからね。
(一部自治体では、本人に身辺調査をする旨を明かしたうえで、調査を行うところもあるようですが。)
それに、そもそも、思想信条の自由については、日本国憲法で保障されています。
ただし、警察官はこれに該当するとは言えません。
警察は直接権力を行使する立場であるため、身辺調査をしているという話を聞いたことがあります。
私も正直警察の試験は知りませんので、これはあくまで一般職員の試験の話だと思ってください。
自分の犯罪歴は関係ある?
前段で、身辺調査を行っていないという話をしました。
よって、過去に万引きで捕まっていようが、飲酒運転で捕まっていようが分かりません。
せっかく試験に合格しても、身辺調査をされて、内定取り消しになってしまうというようなことはないので、心配はしなくてよいです。
ただし、欠格条項に該当する場合は受験できない
欠格条項とは、地方公務員法第16条で規定された、地方公務員の受験資格です。
条文は以下の通りです。
(欠格条項)第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。一 成年被後見人又は被保佐人二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者三 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者四 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあつて、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者五 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
この中で、犯罪に関することは、2項に規定されています。
ここに書いてある通り、禁錮以上(禁錮・懲役・死刑)の刑の判決を受けて、執行中もしくは執行猶予中の場合は、受験資格がありません。
といっても、禁錮以上の判決を受けるほどの犯罪は相当です。
自動車運転のスピード違反、駐車違反等での罰金は、そもそも禁錮刑未満なので、これに該当しません。
禁錮刑以上は政治犯の様な犯罪、強盗・傷害のような犯罪、交通事故であっても自動車運転過失死傷罪に該当するような重大な事故を起こした場合に該当します。
それに、刑の執行が終わって刑務所を卒業していたり、執行猶予が解ければ欠格条項に該当しないので、堂々と受験すれば良いです。
ちなみに、この欠格条項はどの自治体でも受験案内に、受験資格として書いてあるかと思いますが、身辺調査と同じく、警察のデータベースに照らし合わせて調査しているというようなことはありません。
よって、実際の採用試験を受ける過程では、受験をして、基準に達していれば合格、さらに採用前の誓約書にも虚偽でサインをしたら、何事もなかったかのように働ける可能性があります。
当然ですが、この条項(受験資格)をすり抜けて、公務員として働いたとしても、何かの拍子でバレたら懲戒免職です。
場合によっては給与の返還請求も受けるかもしれません。
絶対にしないでくださいね。
家族(身内)の犯罪歴は関係ある?
これに関しても、身辺調査をしていないのですから、関係ありません。
それに、家族(身内)のことは、本人の資質にとって関係のないことです。
もし家族(身内)のことを理由に合格させないとなったら、労働契約上の地位の有効性を争って訴訟沙汰でしょう。
自分の親類縁者が何か問題のある人でも、あなたが地方公務員として地域のためにがんばろうという志を持っているなら、心配することなく受験してください。
まとめ
- 身辺調査は一部例外を除き、されないと思ってよい
- よって、過去の交通違反、非行等については一切試験に関係なし
- 家族(身内)の起こした事件等についても関係なし
- ただし、自分が欠格条項にあてはまる場合はNG