こんにちは、元地方公務員で人事・採用を担当していた”ともきち”です。
人事担当の目線から、公務員試験、公務員の人事等について役立つ情報をお届けします。
地方公務員に採用されて働き始めると、最初に通る道。
労働組合からの勧誘です。
労働組合、なんだかよく分からないですよね。
なんだかよく分からないうちに入るか入らないか判断を迫られる労働組合。
ここで知識をつけて、採用前にじっくり考えておきましょう。
◆目次
労働組合はみんな入ってる?公務員の組織率は高いのか
労働組合とは、労働者がつくる組織で、雇用条件や職場環境などの向上のため、使用者側と交渉していく組織です。
中小企業なんかは労働組合なんてないところも多いですが、公務員は”ちゃんとしている”ので、たいがい労働組合が組織されていると思います。
果たして労働組合には入ったほうがいいのか、入らないと何かしら不利益を受けるのか。
そのあたりについて語りたいと思います。
まずは、多数派はどちらかということで、実際みんな労働組合に入っているのかについてお話します。
これは、結論から言うと、労働組合に加入している人が圧倒的多数派です。
統計的な数字を持っているわけではないのですが、私のいた自治体では、8~9割は加入していました。
ということで、とりあえず
という方は、組合に加入しておきましょう。
とりあえず多数派なら安心です。
組合費は給料の1%~2%程度
さて、入るときとりあえず気になるのが組合費。
自治体の労働組合によって違いますが、組合費はおおよそ給与の1%~2%といったところです。
これだけだと、高いか安いかよく分かりませんよね。
仮定の話ですが、給料が23万円、組合費が給与の1.5%だとすると
230,000円 × 1.5% = 3,450円
もう少し経験を積んで、給料が30万円だとすると
300,000円 × 1.5% = 4,500円
ちょっと組合費が安めで、給料が23万円、組合費が給与の1.2%で計算すると
230,000円 × 1.2% = 2,760円
毎月3,000円から4,000円くらい、安い居酒屋なら1回飲みに行けますね。
これを安いと見るか高いと見るか。
それはメリットデメリットを勘案してから決めましょう。
地方公務員が労働組合に加入するメリット
まずは、組合に加入するメリットからお話ししていきたいと思います。
ちなみに、ここでは「勤務条件の改善を図り~」といったような労働組合のそもそもの存在意義、通り一遍の説明をするつもりはありません。
実際個人として感じるメリットについて話します。
①組合主催の新人歓迎会やスポーツ大会等に参加できる
これは、「デメリットじゃねーか!」と思われる方もいるかもしれませんが、
一般的にはメリットととらえていいでしょう。
新人同士は、まずは新人研修で仲良くなるのですが、組合のイベントなんかに参加すると、より仲良くなります。
バーベキューやキャンプのようなことをやってる組合もあるみたいですね。
とにかく同期と一緒に騒ぎたいパリピな公務員は、とりあえず組合に入ってもいいかもしれません。
(まあ、真のパリピは組合のイベントなんかじゃなく、自分で飲み会等イベントを開催すればいいのですが)
そして、スポーツ大会の件。
こちらも、福利厚生の一環として、全職員参加可能なスポーツ大会が開催される自治体も多いかと思います。
これとは別に、組合でも組合主催のスポーツ大会が開催されます。
マラソン、野球、サッカー、バレー・・・スポーツ大好きの公務員は多いです。
組合主催のスポーツ大会に参加できるのは、もちろん組合員のみです。
土木など体育会系の職場で、組合に入っておらずスポーツ大会に参加できない場合、ちょっと肩身が狭いかもしれません。
ちなみに、スポーツ好きのおじさんの体力はハンパないです。注意して下さい。
当然、スポーツ大会に参加すれば、チーム、職場の結束は強まります。
あと、職務外まで同僚と一緒にいてだるいかもしれませんが、純粋に楽しいですよ。
②どうしても困った時の異動希望や不利益扱いを受けたときの後ろ盾になる
これはなかなか実行する人はいませんが、強硬派のあなたには良いメリットかもしれません。
何かあった時に、組合に泣きつくとなんとかしてくれる可能性があります。
今の職場からどうしても異動したい、異動内示が気に入らない、自分の受けた処分に納得いかない・・・
そういった時に、組合員を守るため組合は力を発揮することがあります。
人事当局から見れば、組合は、正直”めんどくさいやつら”です。
めんどくさい人とは、当然もめたくないですよね?
もめたくないので、事を穏便にすまし、組合(=組合員)の言う多少無茶な要求でも受け入れることがあります。
しかし、これは諸刃の剣です。
当然ですが、組合に泣きついて要求を通す、こんなことをする人はめったにいません。
公務員は組織の中の人間です。
組織に従うというのが当然のことです。
組織としての決定を、組合を利用して覆すなど、もってのほかです。
仮に今の職場が気に入らなくてすぐに異動させてもらうなど、特例措置を受けたら
その後はマークされて、閑職コースとなる可能性があります。
通常の精神の持ち主にはつらい公務員人生となる確率が高いでしょう。
開き直る人にとっては良いかもしれませんが。
③村八分にされない
これは、都道府県庁や政令市、中核市などそこそこ規模の大きい自治体では関係ありませんが
田舎の役場で、職員の人数が少ない場合、組合に入って当たり前という風潮があり
組合に入ってないと白い目で見られる可能性があります。
そのようなことを回避するために、組合に入っていれば安心というのはあります。
でも、こういう風潮はいまの時代にそぐわないですし、こればかりは、周りを見て様子をうかがうしかないですね。
地方公務員が労働組合に加入するデメリット
さて、メリットもあれば、当然デメリットもあります。
続いてデメリットについてお話をします。
①組合費がかかる
これは、上述した通りですが、毎月、給料の1~2%程度の組合費がとられます。
若いころは3,000円から4,000円程度。
中堅になってくると6,000円くらいはひかれるでしょうか。
数千円とは言え、毎月支払うのはなかなか辛いです。
年間にしたら5万円前後。
近場の国内旅行なら余裕の金額です。
ちなみに、チェックオフと言って、組合費は給与から天引きされます。
ですので、支払っている感覚はあまりなかったです。
しかし、塵も積もればマウンテン・・・。
②組合活動に駆り出される
お金の次は時間がとられますよ、という話です。
組合は様々な活動をしていますが、活動するのは執行部、組合専従職員(=組合の仕事のみする職員)だけではありません。
普通の組合員、特に若手は組合活動に駆り出されます。
ビラ配りに、集会への参加、署名集めなどなど
早朝などにちょくちょく時間を割かないといけない場面が出てきます。
まあ、みんなの組合ですから、みんなで活動するのが当たり前ですが、
正直めんどくさいですよね。
しかも、純粋な労働条件改善を求めるための活動ならともかく、
原発廃炉要求とか憲法9条改正反対の署名協力依頼なんかもある場合があります。
これは私の感想ですが、このような活動は労働組合の活動として到底納得いくものではありませんでした。
原発だろうが憲法だろうが、賛否は個人の自由ですが、労働組合が手を出す領域ではないと思います。
そんな思いだと、こんなことに時間を割きたくないな、と感じてしまいます。
一度組合に加入するとなかなか脱退できない
さて、メリットデメリット紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
良いことも悪いこともあるので、じっくり決めたらよいかと思います。
しかし、ひとつだけ言っておかなければならないことがあります。
労働組合は、一度加入したらなかなか抜けられないということです。
労働組合によって違うかもしれませんが、
一般的に加入はウェルカム、脱退は許さないという感じです。
組合は、加入の時はほいほい書類を持ってきて、丁寧に説明してくれますが、
「抜けたい」となるとかなり渋ります。
組合脱退に関して私が聞いたことのある経験談については別途記事にしたいと思いますが
「辞めます」 → 「そうですか」 というわけにはいきません。
組合にはいつでも加入できますので、迷ったら保留という選択肢もありです。
何も考えずに入ると後悔するかも。
組合をやめたいときはこちらもお読みください
まとめ
- 組合に加入すると、組合員同士結束が深まったり、いざという時に助けてくれるかもしれないメリットがある。
- 一方、組合費がかかるし、集会などで時間も取られる。
- メリットデメリットを考えて、加入を決めればよいが、一度組合に加入すると辞めづらい。
- 加入はいつでもできるので、迷ったら保留でもOK